マンガ三種

いくえみ綾はこつこつ買い続けている。題名だけ見ているとだまされる。しっかりと少女マンガの枠をはみ出してくれている。

いくえみ作品の醍醐味はやっぱりさまざまな再会。それはさして好きでもなかった人との演じられた再会であったり、喧嘩別れして何年も経ってからの再会だったり、別れるための再会だったり。そこに表出してくる「あの時は実は……」のところがいろいろなバリエーションを持っていて、似たような展開の話でも全然違ったように見えるのがすごい。

10年ぶりくらいに谷川史子なぞ読んでみる。この繊細な絵柄は健在ですね……かつてのリボン系の作家さんがコーラスやCookieで連載を続けているのが、姫ちゃんのリボンだの天使なんかじゃない世代のぼくとしては嬉しい限り。読者も歳を取る。

『華麗なる一族』の庶民版といったところでしょうか。オノナツメという人のマンガは初めて読みましたが、日本人離れした絵柄は笑顔が似合わない。だから何ページかに一度やってくるイアンの笑顔が印象的。ただひたすらこの物語の主人公の幸福を願ってページを繰る感じがもどかしい。

…歩いていると、
よく親切な人と出会う。
今ここにこうしていられるのはその人たちのおかげだと思う。
あたたかいよね。
でも、
本当に、感じたいのは、
もっと近くにいる人からのぬくもりなのに。

初めから明かされている結末に向かわされるのは読み手としてはつらいばかりです。その中でもかなり脇役ながらリックの台詞は一つ一つ、なんとか物語を快方に向かわせるように読めて、救われる。結末は変わらないのに。

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