吉見 俊哉,若林 幹夫編著『東京スタディーズ』

 

を、読みました。

都市論マイブームは依然、継続しております。この本は、各界の論客による都市論を集めたもので、それぞれに独特の切り口があって楽しむことができました。

六本木ヒルズと東京ディズニーランドとを比較しながらヒルズ開発の思想が実は非常に古くさいものとも取れるとする吉見の論、聖蹟桜ヶ丘の歴史(『聖蹟』とはなんなのか?)、石原千秋のニュータウン移住によるある違和感、あるいはピチカートファイブにおける東京観、臨海副都心開発と秋葉原変貌との決定的な差異……ありきたりの「都心-郊外二元論」に対峙しながら新たな地平を切り開いていくフィールドワークの巧みさが、非常に興味深い論考を生んでいます。

くりかえしになりますが、就職して東京という場所を離れたこと、そしてこれまた典型的な地方郊外に住んでいること、そしてとりもなおさずその場所の経済的利潤が住民のほとんどが働く工業地帯によってまかなわれている──そういった事情が都市論、郊外論への興味をかき立てるようになりました。外国に行って初めてわかる日本の姿、みたいな感じでしょうか。

それまで無自覚だったものが言説によって自覚化されていく、その驚きはおそらくは学問をするということの、最初の喜びなのではないかと思います。

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