小野雅裕『宇宙に命はあるのか』を読みました。

もうとにかくなんにせよH3ロケットの発射成功は久しぶりに日本に明るいニュースでした。ふだん経済原理・資本主義にからめとられて思考しているサラリーマンにとってはニュース記事の中の「打ち上げ一発にかかる費用は50億円」とかいうさらりとしたコメントにいろいろな意図を読み込んでしまい、またそういう自分にイラついてしまったりもするのですが何にせよ成功はよいことです。

前回の「失敗」の時の記者会見も、結局(昨今、小保方ショックの反動なのか東証もふくめこの手の記者会見では純技術的なことが批評のポイントになりつつありますが)純粋に技術的な探求というよりは「日の丸の技術力の凋落」だとか結局は金がもったいないというつまらない議論に行きがちだったのですが、まあ成功すれば成功したでコストも安くおさえ下町ロケット的な「日本アッパレ」なポエムに走ってしまうのも十分に、これは本当に十分に留意しなければならない危険な言説だと自らを戒めなければならないと思っています。結局のところ宇宙開発ってなんのためにやるのか、国民の大半はよくわかっていないんじゃないか。ぼくだってわかっていないんですが。

そういうなかでH3に先立ってホリエモンの駒場祭講演は非常におもしろかった。正直、宇宙開発というのが金持ちの道楽なのではないかという疑義もなくはなかったのだけれど、明確なビジネスとしての見通しがはっきりと語られていて、おもしろかった(動画で出てくるのは一番最後の方です)。同時に宇宙開発の歴史というのもドラマにあふれているのだなあと再認識させられました。もちろんこの講演が駒場という非常に特殊な場であること、またその特殊性を十分に意識した講演だとは思うのだけれど、普通に教養として知っておくべき内容だと感じました。

ということで今回の本を読んだわけですが、宇宙開発の歴史を手っ取り早く知るにはとてもよいハンディな本でした。その意味でタイトルがイマイチ内容と合致していないのと、ところどころさしはさまれる宇宙ポエムがかなり著者が自分に酔っぱらっちゃってるんじゃという感じがして、途中から恥ずかしくて読み飛ばしてしまいました。が、まあこれも宇宙に携わる上での必定なのかもしれません(著者は私と同い年なんですが。しかも航空宇宙かあ)。中高生にはいい刺激になるのではないでしょうか。

ただ、写真が一か所、決定的に間違えていて、SBクリエイティブは初版という言い訳はせずに猛省してほしいと思った(こんなミスが書籍を作るうえでまかり通るのかとびっくりするほどでした)。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA