発売日に本屋で見て面白そうだなと思い、電子書籍で購入。ただ光文社なので文句は言わないが、新書で出す内容ではなく、よくある実録コンビニ本、あるいは中高年向けのダイヤモンドのネット記事のような感じです。新しい医学的見地が得られるわけでもなく、各章の前書きや最後の章のよくわからない楽屋落ちはさっさと読み飛ばしたくなる代物、ではある。
しかし、ここに紹介されるエピソードの登場人物たちの弱さ、生き様、そういうものには小説を読むような面白さがある。もちろん取材を元に再構成された一種の小説と言えなくもないが、鬼気迫るリアリティがある。それは是非本書を読んで感じてほしい(女性の事例だけなぜか独白体なのがこれまた意味不明なのだが…)。
酒というものにとりつかれると人間はここまで落ちゆくのかというのが、具体的な行動として描かれている。自分はここまでのことはしない、という安堵感もありつつ、いや下手すれば自分もこうなるのかという恐怖感もしっかり残る。
──しかし、いかんせん事例の登場人物の年齢が高い。紹介されているのがサバイバーだからこそ高齢者の事例しかないということなのだろうか(それはそれで恐ろしい話だが)。いまの、たとえばトー横キッズはアル中になったりしているのだろうか、あるいはもっとひどい依存症なのだろうか……。
アル中といえば下のマンガも以前、Kindleで買って読みました。これも当事者のなかなかえぐい事例です。
かどなしまる『人生が一度めちゃちゃになったアルコール依存症OLの話』