カート・ヴォネガット・ジュニア『スローターハウス5』

を、読みました。これはなんというか、SFというよりはあまりに残虐な人類史上の事件に立ち会った人間が、宇宙時間的な距離をもってしかそれを描き出すことができないという一つの「症例」のように思えた・・・。たとえとして適切でないと思うがエリ・ヴィーゼルの『夜』を以前に読んだ時の恐怖感と同じものを感じた。

戦争はよくないというのはその通りなのだけれど、それは一人一人の死が積み重なった「大量殺戮」という事態それ自体が、人間には捉えきれない、語り尽くせない、把握できない、耐えられない何かを持っているからなのかもしれません。

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