泉鏡花『婦系図』(青空文庫)

を、読みました。

眉かくしや高野聖は好きなんですが、唯一の長編を読んでいなかったので読んでみました……が、これは新聞小説でたぶん途中で読者から横やりとかがいろいろ入ったんでしょうか? よくわかりませんが、前半の運指と後半の支離滅裂さがどうにもこうにも噛み合わず、文章表現自体は最後まで鏡花の耽美的なそれを味わうことができるものの後半はちょっとさすがに物語としては読めなかったです。おそらく小説というよりは、お涙頂戴の「名場面」を要所要所に差し挟むためだけに物語を進めてしまった感じがします。最終場面はもはや火曜サスペンスそのものですよ……これは裏を返せば日本人の物語・ドラマに対するメンタリティは少なくとも300年くらい変わっていないということなんでしょうか。

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