決定版三島由紀夫全集第5巻

を、読みました。所収は「女神」「沈める滝」「幸福号出帆」。

「女神」は三島らしい佳品。

「沈める滝」は王道的といえばそうなのですが、わりと純文学的な作品です。三島はけっこうその時々で世間を賑わせていた話題を捕まえて、けっしてつまらない教訓話に堕さずに小説的な世界を構築するのが実に旨いです。それが時々世間に誤解されてモデル小説問題に発展するのでしょうが、おそらく世間一般の三島のイメージとは違って、氏は相当綿密に色々な取材をした上で作品を構築しています。ミーハーだし、読者へのサービス精神に溢れているし、そして自らの思想もきっちりと織り込んでくる力量もあります。

「幸福号出帆」はなんだかジブリ映画みたいな感じでした。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA