「成長」を食わず嫌いする

成長を放棄し「おたく」的に閉じこもることを一方の聖域として、もう一方では会社や社会という一つの枠の中での一過性的な「社会人」としてのロールプレイングを生きることの必要悪、あるいはそれこそ世俗的なるものとしてとらえるという、これまたひどく二項対立的な世界観を築き上げていこうという試みを持って会社に入った訳なのですが、そろそろそれも限界に近づきつつあるようです。

室長との面談がありました。まあ、最近の仕事の様子とか将来のキャリア形成みたいな話を年一回所属長とするなんていう制度に則ってということなのですが、まあなんとも自分で自分のことをしゃべりながらあまりのさめっぷりというか、わがことに対する興味の無さというか、何でおまえそんなにやる気がないんだよ、やる気っていうかそもそも生きる気力みたいなところの問題だよ、と頭の裏の方で自分につっこみを入れざるを得ませんでした。

何が問題なのか?

ビジネスではよく聞く問題提起です。一つのひな形です。

本当に、何が問題なのでしょう?

「成長」という言葉がやっぱり気にかかります。
自分がこのままこのままで死んでしまうんじゃないか? 否、それを潔しとしたはずになのです。そう決意したはずなのです。上を目指すということがどういうことなのか? 一つの物語、一つの構造の中で踊らされているだけなんじゃないのか? それを十分に知りつつもなおも踊り続けるということの美学を『ダンス・ダンス・ダンス』で村上春樹は描こうとしていたのか? それでもぼく自身は納得できないというのが実情で。

お勉強というのはある意味でわかりやすいのです。単元があって、教科書があって、テストがあって数値評価される。点が上がればそれが成長だし、点が下がれば退歩。良い大学に受かれば成長の到達点として最大限の評価を受ける。

ああでもそれは、道具に踊らされていることには違いないのです。受験システムという狭い狭い枠の中で。あるいはそれさえ従順な企業戦士を涵養するための一通過点にすぎないのかもしれない。その悲壮さに気がつかずになおも上を目指し続けようとする姿の滑稽さといったら!

しかしこの考え方は正しかっただろうか?

確かにあるべき学生の姿、あるべき社会人の姿というのはある。だからこそ成人式で暴れる人々が非難される。もう大人なんだから大人らしい立ち居振る舞いをしなさい、という社会の要請はやっぱり社会という枠の中での話にすぎない。けれど社会という枠が、あるいは会社という枠がどこまでも巨大で、それ以外の「聖域」を見いだせない人が多すぎる。

あるいはそういうものに対して目をつぶることで上を目指す、そしてその成長を日々のささやかな喜びとして生きる糧とする。今日は商談がうまくいった、上司報告がうまくなせた、画期的なプレゼンテーションを成功させた・・・・・・云々。そういうことの価値がどれほどのものなのか、シニカルに構えてしまっている。

ここまで書いてきて、確かにこういう考え方になってしまったのは冒頭に書いたようなスタンスを最初にとってしまったことがさせているには違いない。よかろう、それでは今から改変することにしよう。簿記の「お勉強」をしてビジネスマナーも頭にたたき込み情に流されることなく合理的かつ論理的に仕事を進める(それはそのまま対人関係にも現れるのです)ことにいたそう。社長を頂点とする(いやいや役員だろ、株主だろ、とかいう話はここでは省くね)ヒエラルキーに乗っかり、あっ忘れていたけど国立大出だから有利なんだよななんてアナクロニスムもいいところ、明日からこっそり休日出勤して仕事は前に前に前倒し、将来有望サラリーマンとして生まれ変わる! なーんて、そんなことができるか? はたしてできるか?

そういう選択はどう考えてもぼくの価値観からすれば逃避でしかないのです。でもそれがどうも週の五日を過ごしている場所の価値観とは相容れないのです。

それが苦しい。なんとも苦しい。具体的に、やっぱり、上に書いたほど露骨じゃないけどやっぱり仕事は一生懸命やるべき、金もらっている以上は上を目指す態度を取るのが当然でしょ(いや、ほんと正論だ、当然だ、あたりまえのことなんだよ。ほんとにそれが正しいんだよ)、というスタンスで仕事している人が目の前にいるんだからな。そういう人もやっぱりたまには「ほんとはこういうのめんどくさいんだけどね、エヘヘ」なんて親近感を醸し出してくることもあるんだけどやっぱりそれは偽造された本音。怠けているやつがいたらやっぱり会社から排除されるべきでしょ? それはだって、どう考えても正しいじゃない。

ぼくだって一生懸命やりたいです。冷めている自分に対してキュウキュウになっている自分がいやです。つらいのです。このままであることがたまらないのです。

成長というものを味わってみたい。

なにをすればいいんだろう・・・

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