花本先生の恋は成就したのか?

さっそく読みました。ぼくは結構このマンガは長く続くんじゃないかと思っていただけに、10巻で終わってしまうのはちょっと淋しい気もします。しかし濃いですよ、恋ですよ、このマンガは。薄めてだらだら長くやっていないだけにこれはこれでいいのかもしれません。

きっと世の中の多くの人は竹本君で、森田さんとハグのような天才同士の幸福な関係は(それはもちろん恋愛ではないのだけれど)希有なものとして想像力で補うしかないのでしょう、凡人のぼくらからしても、また。

森田さんがハグに甘えてしまったという自覚に至ってしまう場面がとにかく切ない。

才能

才能

才能

そーやってみんなヒトを勝手に

好いたり憎んだり恨んだり……

あげくに黙って離れてゆく

虚しかった もう やめにしたかった 何もかも

だから道連れにしようとした

みんなからうらやましがられる人間の孤独を救うのは結局同じ孤独を持った人間ではなくて、花本先生のような――花本先生のようなどんな人間だったのだろう? それをいうのはとても難しい。

あるいはこれはハグの視点で考えなければならないのかもしれない。彼女の選択肢が「森田さん=もう絵を描かなくていい/花本先生=これからも絵を描き続ける」という二項対立だったとしたら、彼女は「花本先生=これからも絵を描き続ける」を選んだことになる。

しかしこの「=」は結局「≒」であり、解釈によってはいくらでも「≠」になってしまうだろう。はたして花本先生の恋は成就したと言えるのだろうか? 最後の最後までこのマンガは途方もない片恋を描き通したのだと、ぼくは思う。

近日は「働きマン」と「NANA」も新刊が出ますね。楽しみです。

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