とりあえず今出ている13巻まで読んでみました。やっぱり矢沢あいは絵がうまいですね……『天ない』も中学の頃よく読んでいましたよ。マミリンはどうしているんでしょうか。

さて『NANA』ですが、なんというか全体の印象としては9巻あたりまではテンポよく物語が進むのですが、その後は愛とか子どもとか結婚とかに関する思考実験的な様相を呈してきます。

ただ物語自体もせまい人間関係の中で男と女がとっかえひっかえされる感じで、さすがに物語の進行の中で主人公の「元カレ」が三人にまで達するとなるとちょっとやりすぎだなあ、という印象が拭えないのが残念。奈々が結婚が決まってマンションに閉じ込められてからは元カレと関係に（奈々の）物語がフォーカスされてしまって、なんだか前半でテーマになっていた奈々とナナとの関係はどこへ？　本当に解決したんか？　という感じです。

10巻代に入るとわりとセリフのために人物が動く感じで（その意味で「思考実験的」と言ったんですが）、物語に浸るというよりは「登場人物はこう言ってるけど読者はどうですよ？」という、共感で作品を消費しずらい展開になってきます。たとえばこんなのはいかが。

シンデレラのガラスの靴は
ぴったりなのに　なんで途中で脱げたんだろうね
王子様の気を引く為にわざとやったとしか思えないんだけど
何をやっても空回りの一人芝居で
幸せになりそこね続けた女のひがみかな

うーん、考えてしまいますね。重いですね、暗いですね。

まあまだ完結していない作品ですから、この時点でなんとも言いようが無いんですけどね。今後の展開としては奈々が料理で自らの主体性を発揮するようになる？（これじゃ吉本ばななだ）のを期待します。いずれにせよおもしろい作品であることは間違いありません！　映画も見たいなあ。