伊藤和夫『英語長文読解教室』

を、読みました。

TOEICが2月にあるのでまずは昔取った杵柄の確認作業から、ということで駿台でみっちり叩き込まれた伊藤イズムによる英文解釈の感覚を呼び起こすのに調度良い本でした。

この手の本はもはや東大で言えばユニバースなんかの教材とほとんどやっていることは一緒で、あとはどこまで学生に対してサービスをしてくれるかの度合いによりけりということになってきます。

もちろん、いずれにせよ原書への階梯のどこかの段になるのではあるのでしょうが。

『予備校の英語』の端々にもうかがえる氏の英語教育に対する厳しい姿勢は、全く色あせず、こうして一人のサラリーマンが社内TOEICという全くやる気の起きない行事へ駆り立ててくれるのですから、まったくもって頭が下がる思いです。

明日からは中村澄子の文庫本シリーズを電車の中で読んで、休日は公式問題集に取り組んでいきたいと思っています。

そして風邪は全く治らず、今日も朝から微熱のまま出社し、一日中、文字通り、鼻水が止まらず辛い思いをしました。

帰りに職場の先輩から「ビックスをなめておくと良い」というライフハックを仕入れましたので、早速帰り道のコンビニでゲットしてなめています。

明日からは全快でバリバリ仕事する予定です。


なぜか風邪をぶり返す

昨日買い物から帰ってくるまでは風邪も全開してピンピンのはずだったのに、夜半から突然調子が悪くなり、今日は朝から鼻水が止まりません。

風邪が完治していないのにインフルエンザの予防注射を打ったのが良くなかったのかもしれません。

いずれにせよ鼻水が出ているということは、体の中の悪い菌を外に出そうとしている最後のあがきなわけですから、これでいよいよ明日から全快というふうになっていって欲しいものです。

最近の休日はとても自堕落です。

目的もなくネットを見ていたりして、あまり原稿も進んでいません。

何かもう少し、目的的に生活したいとも思うのですが……、とりあえず風邪をしっかり治すことを最優先といたしましょう。

ちなみにまたWPのテーマを変えてみました。

字がちっさくなりましたが、あんまりデフォルトのテーマのままというのも芸がないので、しばらくこれでやってみようと思います。

画像があるとどうも飽きが来てしまってよくないですね。

ブログのテーマはとにかくシンプル・イズ・ベストです。


ツータック……?

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ユニクロに行ってゴルフウェアとしてチノパンを二本買ってきました。
しかしものすごい込みようだった……レジ並ぶのだけでも20分待ちとかでした。

ゴルフウェアのボトムスって要はジーンズじゃなきゃいいみたいなんですが、そうは言ってもなんでもいいというわけでもないと思いとりあえずツータックのとノータックのを一本ずつ買いました。
それにしてもツータックって……30代ですが初めて履くんですが、サイズの合わせ方がいまいちよくわからず……物の本でちょっとブカブカ目のほうがいいとか書いてあったのでなんかウェストだけ合わせて買ってきました。
これでいいのかサッパリわかりません。

だいたい、こういう色合いの綿パンツって工場勤務時代の作業着としか見えないです。
まあいいや。
とりあえずまだ買っていないポロシャツは少し色の暗いものを選ぼうと思います。

しかしユニクロとはいえ5000円弱の出費。
あと、ビックカメラでゴルフシューズも見てきたんですが高い……なんであんな高いの?? バカなの??
なんとか5000円以内で少し種類の選べそうなお店がないか探してみよう……。


きょうにっき

風邪もそろそろ治りかけてきたし、今日はしっかり寝て身体を休めよう。

会社でのど飴ばっかり食べていたら(なめていない)、夕食の味覚がかなりへんてこなことになっていました。

今週は水曜日あたりから暴風域に突入する予感です。


Cocco『東京ドリーム』

を、読みました。

沖縄タイムスに連載されたエッセーに加筆、書き下ろしも加えたものです。なにかと話題のミシマ社刊行です。確かにそれらしい。

内容についてはここでくどくど紹介するまでもなく、彼女の真摯で正直な日々が綴られています。

東京生まれ東京育ちのぼくとしては、Coccoの故郷に対する想いや現在住んで居る東京という場所に対する想いの「あり方」のようなものは、全部を全部理解できるわけではありません。

けれど、少なくとも東京みたいに忙しくて人が沢山いて高度に情報化された場所なんてほんとに嫌いだ! というような調子でこの本が東京について語っているわけでないことは確かで、それは少し安心しました。

彼女自身も含め、いまいる場所を肯定出来ないのはとても不幸なことだと思うから。

そして、彼女もまたひとつの母親として東京というこのけったいな街で、色々なものにぶつかりながら相変わらず生きて暮らしているんだということに触れられるだけで、明日からの月曜日もなんとか乗り越えていこうという勇気を得られるというものなのです。

好きな曜日
月曜日(始まるぞというかんじが)
木曜日(何とか巻き返せそうなかんじとあと少しというかんじ)


【小説】書き損じ集(定例エントリー!)

 結婚式の二次会というのはいいものだ。
 学生時代の懐かしい仲間に招待状をもらえば、いそいそと会場の扉を開くまでの時間が待ち遠しい。普段は履かないストレートチップをアスファルトに靴音響かせながらレストランに入れば、ノースリーブなんか絶対に着なかった後輩の女の子がすっかり髪の毛を整えてドレスアップして受付に立っているだろう。名前を告げれば、最初は聞きなれない言葉を初めて受け取った子供のようにきょとんとされる。彼女は慌てて手元にある名簿を鉛筆の先で上からなぞっていく。そっと自分の名前が書かれてある列を指差すと、その指先に彼女は目を止めて、もう一度こちらに顔を向ける。やがてさざ波のように彼女の表情に変化が訪れる。
「ああ先輩ですか! ぜんぜん変わらないですね!」
 と、褒めているのか褒めていないのかよくわからない言葉。いま、ぜんぜん誰か分かっていなかったじゃないか、と苦笑気味。すぐに気がつくことができかった自分の落ち度をそうやってごまかしているのかも知れない。そういう照れ隠しもまた良い。そして二人の間には既にある一つの黙契が復活している。「生意気な後輩と口うるさい先輩」という関係を許しあうという。だから「そういうカッコすると女の子だなあ」という軽口を、会費のために用意した真新しい千円札を数えながら安心して口に出すことができる。
「何年ぶりくらいですか? 卒業式の時に飲みましたよね」
「そうそう。あれは史上最長の飲み会だったな」
 二言三言、言葉を交わすだけで、その言葉の響きや投げかける勢いで、氷は一瞬にして溶ける。
「まだ大学院にいるんだったっけ?」
「そうです、毎日実験の準備で大変ですよ」
 そういう一連の距離感の回復過程が、楽しい。新しい自分を見せつけ合う気負いなんて無くて、むしろこの五年間の間に自分が幾許かでも成長し、知らないものを色々と知った気になっていたことに恥ずかしさを覚える。「そうなんだ、君の言うとおり、全然変わっていない」などと後で日記帳に詩でも書きたくなるくらいだ。
「それじゃあ、また後で」
 会費を支払うと、にっこりと笑う相手に同じ温度の笑顔を向けてしばしの暇乞いをすれば、パーティー会場へ続く通路を辿っていく。足元は青いライトが、その色に似合わぬ柔らかさで絨毯を照らしている。足音を目立たせぬように敷かれた生地の肉厚さが、革靴の裏からも感じられる。
 狭い通路を抜ければ、会場の扉を前に明かりを抑えた待合室に出る。既に午後から始まった披露宴を済ませてきたのであろう、赤ら顔の男女がひしめいている。ちょっとした集合写真を撮りあったり、タバコ仲間を募って外に出ていったり、最近手にしたばかりの自分の名刺を配り歩いたり。
 部屋の隅では小さなバーカウンターで食前酒を供している。会の始まりにはまだ早い時刻だったが人々のおしゃべりをしたい欲求は、アルコールの力を得て既に頂点へ上り詰める勢いをふんだんに見せ始めるタイミングだ。この時間のためだけにカウンターに立つバーテンダーも、グラスを拭っては次の飲み物を作り続ける忙しさに興奮を隠しきれない。
「二次会とはいえこれだけの規模の開催は久しぶりです。いつもはこの会場も壁で半分に仕切って裏側には使っていないテーブルや椅子を積んでおくのですけれど、今日は全面、楽屋無しです。扉が開いたらその広さに驚きますよ」
 長い髪の毛を後ろに撫で付けたにこやかな男は、ゆっくりとグラスにシャンパンを注ぎ入れる。
 グラスを手にして振り返ると知った顔がいないか検分を始める。真っ白なポケットチーフが光るスーツ姿の男たちや色とりどりのカクテルドレスに身を包む女たちの中で、いつも会社に来ていくスーツと大して変わらないデザインの礼服をなんとかごまかして着てきていたせいか心なしか気が引けてしまう。もしかしたらとても場違いな出席者になってしまっていたか? 招かれざる客だったか? けれど「おい!」と、背中を叩かれて振り返れば、さっきの立派なスーツ姿の男の破顔一笑。よく見れば知っている顔の知らない顔。知らない顔の知っている顔。「変わらないな」と言い合う。さっきの受付で演じてみせた静かな再会のように、ここでもまたひとつの氷塊が一瞬にして溶ける。バーテンダーはその再会を祝するかのようにゆっくりとシェーカーの音をひびかせる。
 そういうのが、この物語の主人公である椎名要のよく知っている結婚式の二次会というものだった。だからその日、どうして呼ばれたのかもわからない二次会に出席するべく礼服の袖を通したとき、嫌な予感しか彼にはしていなかった。

     ◯

 勤めていた会社が去年の九月、業界最大手に飲み込まれた。大学を卒業した椎名がその中堅電子部品メーカーに入社して八年目の出来事だった。建前上、敵対的買収ではなかったので「雇用は確保する」と書かれた紙ペラがご大層にも各人に配布された。
「そうは言っても、いつまでも本社にいられるわけでもないんだろうから、さっさとどこか子会社にでも出向して閑職で定年を迎えたいもんだね」
 などと強がりを言いながら月島の古びた本社ビルを引き払って、十月一日から東京は丸の内の敵陣へ通い始めることになった。
 するともう初日からやれ若手飲み会だの同大学出身者の集いだの営業部門合同親睦会(題して「昨日の敵は今日の友」!)だのへの案内が、設定したばかりの新しいメールアドレスに次々と放り込まれてくる。この経営統合の金銭的な効果を少しでも早く回収しようと、夜な夜な互いの情報を開示すべく様々な階層でコンタクトか繰り広げられているらしかった。
 けれど椎名は中でも「同期会」という言葉に対して最初、全くの思い違いをしていた。曰く、◯月×日二〇〇五年入社の仲間で集まってワイワイ騒ぎましょう! 開催場所は丸の内△△カフェを貸し切ります! 仕事が終わってから、あるいは仕事をちょっと抜けだして顔を出しませんか? 前向きのお返事よろしくお願いします!
「いやいやいや、前の会社の仲間だけで集まって愚痴り合うだけなんだから、こんな、会社のすぐ近くでやらないほうがいいんじゃないの? どこで誰が聞いているかわからないよ」
 けれど「同期」というのが旧両社の二〇〇五年入社の人間すべてを含めているということをこっそりと教えられて、その感覚の新しさになんの誇張もなく驚きを感じた。そして次の瞬間には、そういう感情をとっくにやり過ごしたのか社内融合に駆り出されることに喜びすら感じ始めた一部の人間に対してまた別の驚きを感じるのだった。
 ついこの間まで「東京駅で××社の若い連中が集団でいるところ見たんだけどさ、なんかみんなで白いワイシャツに黒いスーツ着てダサいんだよ。あんなヤツらに負けないでこっちの色に染めちゃおうぜ!」と強がりを言っていたその口から「いやあ、××社ってそれはもうお固いヤツらの集団かと思っていたんですけど全然そんなこと無いんですね!」とよくわからない敬語が浮き浮きと飛び出してビール瓶を傾けている。あるいは会が果てたあとに「この前、経営企画部の若いヤツらと飲んだんだけどさ、考えていることが全然違うよ。長いものに巻かれる主義の俺達と違ってさ、やっぱり業界を引っ張って行くからには見ている世界が広いし、来期の予算がどうとかじゃなくてちゃんと長期的な視点で企画をしようというマインドがあるよ」などと、まるで重大な秘密を打ち明けるかのように耳打ちしてくる。
 椎名にとってはそういう光景を見たり聞いたりするのが辛かった。なぜならそういう場に居合わせたらいつもより断然甲高い声を張り上げておべんちゃらを言って回り、ついこの前まで信じていた常識が覆されるのを目の当たりにしては「今までのやり方が完全に間違っていたのだ」と思考停止して簡単に寝返り、飲み会のあった翌日には朝八時から「偉い人」をエレベーターホールで待ち伏せては「昨夜はごちそうになり大変ありがとうございました!」と大きな小声でささやいてしまうのが、他でもなく自分であると自覚する程度には自分の性格を把握できていたから。
「もう戦いに決着はついているんだからさ」
 あるいは、新しい環境に馴染もうとする疲れがたまってきた十二月のある木曜日のお昼時。
「お前はまた理屈ばっかりこねあげて侵略者側の論理だとか歴史修正主義には与しないだとか、コムズカシイことを頭の中でこねくり回しているのかもしれないけどさ、軍事用語でヒロイズムに仕立てるのは良くない傾向だよ。お涙頂戴の爆弾三勇士じゃないんだよ、俺達は」
 と、自称リベラルな別の同期、岸田がわざわざ昼飯をおごってやるという小芝居まで打って椎名に忠告してくれる。
「田中先輩が言っていたよ。最初から張り合うのがおこがましいんだって。俺達は負けたんだ、ただ、負けたんだ。一回死んだと思わなきゃ。もう十年も前に増資をしてもらっているんだ。決着はとうについていたんだよ。それを今更、やれ株式の交換比率が侮辱的だの、役員の数が少なすぎるだの、福利厚生の撤廃反対だの言ったってしょうがないんだよ」
 真昼間からビールでも頼みそうな勢いの岸田の放言を聞きながら、椎名はなんと言って良いのかわからない。こいつはわざわざこのクソ忙しいさなかに人を呼びつけておいて、自分の話を聞いてもらいたいだけなのか。そもそもそんなことを無神経にやってしまうような人間だっただか?
「販売規模、技術先進性、政治への発言力、どれをとっても相手方のほうが一枚も二枚も上手なんだ」
「じゃあ、上手投げでもかましますか」
「は?」
 お昼時の丸の内界隈は、短い休憩時間を少しでも有効活用しようと財布を握りしめた勤め人たちでごった返している。少しでも安くお腹にたまり、午後も頑張って仕事が出来るように、少ライス付きの肉味噌ラーメンだとか、大盛りピクルスと激辛のカレーライスのセットだとか、鶏の唐揚げ食べ放題だとか、そういうものを求めて地下のレストラン街に行列を作る。
 けれど岸田は新丸ビルの一食三千円もするランチを前にして、サラリーマンとしての土地勘をまだ養いきれていない自分自身の不甲斐なさと、その不甲斐ない自分の口から出る強い言葉、それも深い諦めを一生懸命隠そうと刺々しさで装った言葉とのギャップを自覚しないのだろうか?
「だからさ、頭で勝てないなら残業でも何でも死ぬくらいやってさ、さすが△△社出身のヤツらは体力勝負でのし上がってきたんだなっていうところ見せてやればいいじゃんか。そもそも勝った負けたで美談にして、滅びの美学みたいなものにひたりたがっているのは岸田の方じゃないのか?」
 と、椎名は啖呵を切る。言いながらももちろん岸田の本音は充分すぎるほど分かっていたから、それ以上責め立てるような真似はしなかった。そんなことをすれば、自分自身を傷つけることになる。会話はそれ以上展開することを放棄する。そして二人は腕時計を気にしながら次々と運ばれてくる肉料理や魚料理をせっせと口の中に運んだ。
 けれど合併存続会社側の人間が、絵に書いたような帝国主義者の集団であったならば物事はもっとシンプルだし、椎名も岸田ももっと心置きなく呪詛を吐くことができただろう。二人の歯切れの悪さは、結局のところ完全な正義が自分たちにだけあるわけでもないことを敏感に察知していることに端を発する。だからまだ入社三年目の林次郎が次なるメールを、一体どういう人選によって至ったのかわからないくらいたくさんの「仲間」たちに送ったことと、その結果幾許かの人間が心に立たせられたさざ波について、百パーセント彼の咎とするわけにはいかない。
「業務外で恐縮ですが、ご報告とご案内で御座います! この度、四月に結婚することになりまして、下記の通り二次会を行う予定としております。日頃お世話になっている皆様には是非ご参加頂ければ幸甚です! お忙しい中とは存じますが、ご検討宜しくお願い致します。個人的にはこの会を機に旧会社双方、色々な方と交流いただき、統合新会社としての一体感をより強固なものとしていきたいと考えております」
 椎名はこの手の素直さに対して常に警戒心を払ってきていたが、まさか二次会とはいえ自分の結婚式を会社の発展の場として供するメンタリティについて理解が追いつかなかった。
「あれ、上司にああ書けって言われてんのかなあ」
 以来顔を合わせる機会を失った岸田に向かって言うつもりでふと言葉を漏らす、タバコの煙を吐き出すように。毎週のように配船会議で顔を合わせていたのに、年があらたまってから岸田の代わりにもっと若い男の子が出てくるようになった。その彼はなかの他意もなく「このコンテナ船は十九日岸着必須です。商社ともちゃんと調整してください。無理ならモノは出ません」と、淡々と事実の固まりを投げつけてくる。彼はなにも考えてくれない。それは彼の仕事ではなく、椎名の仕事だからだ。職制表にちゃんとそう書いてある。
 既に午後九時を回っているが、オフィスの明かりは煌々と輝き、あちこちでパソコンのキーボードを熱心にたたき続ける音がこだましている。メールの送り主である林くんもこちらに背中を向けてパソコンに向かっているが、隣に座っている上司が時々「まだか、まだか」と言いながら林くんの椅子を蹴っている。同じ事業部で隣の営業部だというのに、一体なにをあんなに必至にやっているのか椎名には未だによくわからない。
 そもそも椎名は林と口を聞いたことがほとんどない。直接的な仕事の関わりがないので、コピー機に並んだ時に「元気?」くらい声を掛けるのが関の山だ。それすら初めのうちは妙な気がした。年次が上というだけて馴れ馴れしてく接してくる変な人と思われたくないと、妙なプライドの高さが椎名を尻込みさせる。新しい環境ではどこへ行っても、誰に対してもアウェー感が拭えないものだ。だからそんな椎名に声をかけてきてくれた以上は、それほど親しい付き合いではないということが出席を拒む理由として有効でなくなってしまう。椎名は考え込む。「他のみんなはどうするのだろう?」と思ってみたところで「他のみんな」も林と同程度の付き合いしかない。そのメールの宛先に並ぶ名前を見たところで「どうする? 行く?」などと気軽に話しかけられそうな人間が見つからなかった。
「まあでも、かわいい女の子もたくさん来るだろうし!」
 二十代の残滓を残すそれっぽい本音らしさ(それをこそ建前というのだが!)を思考停止後コンマ二秒でひねり出して自らの胸に投げつける。とにかく、あらゆる機会を捉えて新しい現場感覚を磨かなければならない。新しい常識のあり方に従わなければならい。自分の臆病さに鞭を打つようにして椎名は「ご検討」の結果をメールの返信欄にキーボードで打ち込んでいく。
「ご結婚おめでとうございます。また、丁寧なお誘いどうもありがとうございます。普段の業務を通じてはなかなかお話しする機会もございませんでしたが、これを機に仲良くさせていただきたく存じます。是非とも出席させていただきます。あと、仕事はそこそこ適当にやっつけて手を抜けるところは抜いてしまっていいと思います」

     ◯

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まどマギ劇場版

を、見てきました。

ベースがパラレルワールドものなので、どれが本編かとかもはやあまり意味をなさなくなってきています。

2時間みっちりと内容盛りだくさんで、右脳と左脳をフル回転させながらの鑑賞。ほむらが時間を自在に操れるとか、魔法少女になるのに引換にひとつだけ願いが叶うとか、設定としての自己矛盾というか悪く言えば「あら」みたいなものをうまく使いきってスケールの大きな物語にしていると思います。勧善懲悪でもないし、悪をさらに後ろで操る悪、みたいなよくある黒幕の黒幕の黒幕の……みたいな迷宮にも陥らず、そこはかなり意識的に設定や構造をきっちり決めたあとは、その中でどれだけの意外性や抜け穴を実際に中で動きまわるプレイヤーとして見出していくか、という視点で作られているような感じがして、そこがとても面白い。

前にも書いたかもしれないけど、シックス・センスみたいな構造のネタばらしがそのまま落ちになっているのではなくて、構造をいかに打ち破るかをキャラクター自身が考えて活躍しているところが、とても面白くて、とても好きです。


風邪を引いたので

昨日は実は会社をお休みしていました。

寝たり起きたりを繰り返してなんとか微熱も落ち着いたので今日は会社に行ったのですがなんとなく帰ってきてみると喉が痛い……。

頭痛はさすがに使うところが痛むので会社休むのが原則と勝手に思っているんですが、喉だの腰だの腹だのの場合は直接的な被害はないので頭が働く限りは出社したいと思います。

とりあえず明日が金曜日ということが幸いです。