開き直って読書日記をつける。
若干、桜庭一樹の読書日記に感化されている。
吉本ばななの中では『王国』が一番好きな小説なのだけど、『アムリタ』は『王国』をVer.3だとしたらVer.1みたいな感じです。Ver.2はなに? というつっこみも聞こえてきそうですが。。。
とまれ、正直に言って難解な小説でした。あとがきを読むとこの作品は作者にとっては「最悪の時期」に書かれたもののようで、確かにこの小説は生と死のギリギリの線上に置かれています。
主人公は記憶喪失の状態からはじまって、いろいろなきっかけから自分を取り戻していく…という単純な読み方は全然できなくて、とにかく後期のスピリチュアルな方向に行く萌芽のようなものも色濃く出ているし、作者の十八番である強い倫理観もそこここに見え隠れする。
この作品は完結した一つの物語として読むのがなかなか難しいのだけど、作者の前期と後期の作品群をつなぐ大事な位置にいるんじゃないかと思う。これがなかったら後期(っていうか中期っていうか)の、そうだなあ、『デッドエンドの思い出』あたりまでの見通しが立たなかったようにも感じます。再読の必要ありかな。
最近の若者は自己チュー論集。少なくともぼくの周りにはこういう人たちはいないのだが……一般論というよりはこんな人いました的なケーススタディ極論派の本です。
三年前に読んでおきゃよかった。今になって読んでもあまり新鮮みが無くなっている自分にむしろがっかりする。
現役サラリーマンの著書ということだけあってなかなか説得力のある本でした。この著者のメールマガジンが面白くて本も買ってみたのですがなかなか身に覚えのあることばかり書いてあります。
けっきょくは考え方次第なんですよね。上司の使い方とか、周りが残業しまくってて帰りづらい時の対処の仕方とか、有給休暇を申し出るタイミングとか、なかなか役に立ちます。役に立つだけでなくて、一貫した哲学が感じられるのがgoodです。
濃い内容だったな。。。サブカル漫画家三人のあてどもとめどもないおしゃべりの記録。後半、魚喃が冴えまくっている。
映画化原作。美術学校の生徒と講師の恋愛譚。夫が出てきてから面白くなるのかと思いきゃのところで別れちゃうのが残念。サブキャラが(たぶん映画だと青井優の役)あんまり物語に参加していないのも残念。とりあえず年上にふられたばかりの男子は読むとせつなくなること間違いなし。でも……永作博美のイメージではないなあ、うん。
新直木賞作家桜庭一樹をとりあえず読んでみようと思い立った。でもラノベの棚はとにかく未知だ。なに文庫があってどういう作家がいるのか皆目見当がつかない。表紙の絵が恥ずかしい。でも中身はけっこう猟奇的。テレ東の深夜ドラマにありそうだ。
で、二冊目。最近マイブームの〈田舎のどんづまり〉も良く描かれている。砂糖菓子…とテーマ的には通ずるものはあるけれど、断然こちらの方がよい。最後の一行にたどり着いたとき、腹の底から叫びたくなってしまう。
村上春樹訳、とはなかなか思えないほどハルキ臭のしない訳文。けっこう原文に忠実に訳されているのでしょうね。映画も全く見たことがなかったのですが、ティファニーという場所が象徴するもの、そしてそれを大事に胸にしまって生きる指針みたいにしているホリーの一言一言にほれぼれします。
目下、桜庭『私の男』、本谷有希子新刊二冊と今更ながら『敗北を抱きしめて』など積ん読中。
以上。