決定版三島由紀夫全集第3巻

を、読みました。第三巻は「禁色」を収めています。

群像と文學界とで前後半がそれぞれ連載され、新潮社から単行本が刊行されるとというおよそ今から考えてもありえない履歴をたどった本作品ですが、三島が「二十代の総決算」と言っているとおり力の入った作品です。いわゆるホモ小説ですが、おそらく後年にも渡っても三島がこだわり続けた「外面と内面」の問題はここでかなり明確に立論されているようにも思います。愛とは、愛する行為の中にしか存在しない…というような。

小説として読んだ時にはやはり檜俊介が最終的には主人公だったのではないかと思えます。その「晩年」に、自らへの注釈を試みながらそれを次々と裏切っていく自分に絶望していく様は、それこそ「愛」と呼ばずにはいられないものなのでしょう。本当に本当に、彼は愛されたかった! 愛を知りたかった。だからこそそんな「モノ」は存在しないと強がっていたのかもしれません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA