「TAKESHIS’」を見る

前評判からは難解な作品なのかとも思っていたのですが、そんなことはなく、ただこの映画はストーリーよりも形式のおもしろさを味わうものなのかと。

要は、イメージの連鎖、現実と妄想の交錯、入れ子に次ぐ入れ子構造、パラレルワールド的な人物設定、というようなものが全編を貫いていて、まるでたけしの頭の中をのぞき込んでいるような生々しさがあります。

たとえばこれと同じことを文学でやろうとすると芥川的というか、わりと病的な印象になってしまうんですが北野武が映画にすると非常に笑えるのが不思議です。牧野信一的と言えばそうかもしれませんが。

わりとべろーんとだらだら日常をたれながす系の映画ばかり好きで見てきた私ですが、たまにはこういう密度のある映画もいいものです。

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