吉原珠央『自分のことは話すな』

なんとなく編集者が一方的につけそうなタイトルですが・・・新書ではありますが、ひたすら具体例に次ぐ具体例。理論を学ぶというよりは、書かれているケーススタディの中で自分だったらどう振る舞うかを頭の中で考えるための本かもしれません。ここに書かれていることがすべて正解だとは思わないですし、著者も同じスタンスなんだと思います。「自分のことは話すな」というのは一面的な見方で、本質は「他者へ関心を持て、そいつが一人の人間であることを想像力を持って把握せよ」ということの方に重点が有るのだと思います。

内容は悪くないので、だらだらと聞き書きをしたような構成のするのではなく、もう少し脇を締めた構成にできなかったもんか・・・。中身をもう少しパターン分けして整理して、もう少し抽象論で各章立てごとにまとめてくれれば「新書」としても成立していたのにもったいない感じがします。このページ数で「私って自分のことは話さないほうがいいと思うのよねー、ダラダラダラ以下同文」で終わっているのがもったいない。個々の事例は非常に面白いし、考える切っ掛けになります。

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