高橋久美子『いっぴき』

チャットモンチーは、ぼくが会社に入って最初の配属先にいた期間とほぼその三人組時代が重なっていて、ほんとうにドハマリしていました。チャットモンチーだけは「何回聴いても飽きない」と言っていましたし、実際そんな感じでした。それでも、東京に異動して、チャットモンチーも二人だけになってしまって、いつしかまったく聴かなくなってしまった自分もここにいるわけで、ほんとうに人は世に連れ・・・と言うんでしょうか。ただ、遅い青春のような時代があるのだとしたら、確実にあの五年間はそうで、いつでもぼくのとなりにはチャットモンチーの曲がつまったアイポッドがあって、どこにいくにもそれを軽自動車のスピーカーに繋いでは爆音で聴いていたものでした。

とくに高橋久美子の書く詞は、どこか学生時代を懐かしく思う気持ちを綴ったものが多くて、この本を読むとその背景がよくわかります。たぶん誰にでもあるようなだれにでもある学生時代。でもそれは誰にとっても唯一のもので。ノスタルジーを否定する向きとも戦ってきたのだけれど、ふとこの曲を聞くと「あの頃が大好きで思い出し笑いも大好きで」もいいじゃないかって思えて、泣けて来るんだよなあ。

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