神谷美恵子『生きがいについて』

を、読みました。

当ブログの過去のエントリーによれば本書を初めて読んだのは2008年の夏。それからだいぶ間が空いてしまいましたが、再読の機会を得ました。再度読み返して思うのは、エッセイのようでいて、案外とアカデミックな記述になっている点と、それからなにより「宗教」がけっこう大きなテーマになっているように感じしまた。

解説で柳田邦男が水俣病患者の中でも宗教的な方向へ急伸していった緒方正人を上げていますが、まさにあそこにある、ある種の「危うさ」みたいなものともっとちゃんと向き合うことをしていかないと、人間の弱さとちゃんと対峙したことにはならないのではないかと感じています。決してこれは、ハンセン病の施設の中で宗教的に偏向していく人たちに対する「懐疑」を表明するものではないのですが、やはりそこにあるなにか……人の弱さみたいなものをちゃんと考えないといけないと思います。良い悪いじゃなくて、そういうふうになってしまうのが人間なんだ、という事実をもっとちゃんと認識しなくちゃいけいなというか、言い方が非常に難しいですが。「本願の会」については実は、ちゃんと一度勉強したいと考えているところでした。

ぼく自身は、例えば幼い子供をなくした経験があるわけでもないし、そんなことを考えることすら恐ろしいのですが、かつて、2008年の時に感じていた喪失感のようなものはだいぶ解消されたにしても、あらためて「生きがい」について自分に問いかける良い機会となりました。

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