中原淳『駆け出しマネジャーの成長論』

ああ、こういう本があるっていうのは本当に助かります。ぼくのために書かれたような本です、と言っても全然言い過ぎではない。

一度だけの人生ですから、企業のマネジャーとしての人生を選択する以外の道もたくさんあると思うんですよ。秀でたプレイヤーとしての才覚を最後の最後まで伸ばしていくという生き方もかっこいいと思いますし、むしろそれを是としてきたのがプレイヤーとして優秀になることをひたすら目指してきた二十代でした。人に仕事なんか任せられない、自分がまずなんでもやって見せて自分の能力がなんぼのもんかを見極めたい、常に自分が自分が自分が、という価値観でやって来ました。

マネジメントは技術なのか、曲芸なのか、あるいはプレイヤーという比喩をもう一度使うとしたらそれもまた一つのプレイグラウンドなのか、ぼくにはまだまったくわかりません。ただ、ここに書かれてある様々な事柄は、実務家としての自分を磨いてきた社員たちの葛藤をベースに響かせている点において、非常に実務的な指南書となっています。今までにはなかった教科書、というか、日経文庫に比べれば「実況中継的」な生々しさを帯びているには間違いないのでしょう。これを起点に、自分のスタイルを磨いていくことなんでしょう、ひたすらもがき苦しみながらその大きな海原を泳いでいくというまず出発点において、その覚悟をもう一度ぼくに問いかけてきます。

しかしここにもまた「いい人ぶりたい」「人に好かれたい」という気持ちを捨てること、という記述が出てきていて、本当に『嫌われる勇気』読もうかな……。

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