新潮日本古典集成『萬葉集』四

を、読みました。

全集としては四巻目ですが万葉集としては大団円の13〜16巻目を収めます。俄然、面白くなってきました。東歌はもう本当にそれまでの洗練された都会の歌とは違って、方言丸出しながら力強い自然や人事を歌い上げていきます。これまでと違って、歌作の具体的な「場」というのが相当に見えていて、特に付録として編まれた16巻目は、あとがきによれば家持による正当な編纂とは違う系統で追補された巻のようですがだからこそいろいろな試みがなされていて、その多彩さに驚きます。だって、竹取の翁とか出てくるんだよ……。一首一首を味わうというよりは、明らかに編纂者の意図があって、一連の流れを読み通すことによってまた違ったおもろしさを感じさせる部分に、なんというか、万葉集も考えれば古いと言ったって太古の昔の出来事ではなくて全然今に生きる人の想像力の及ぶ範囲内に存在しているんだと改めて感じさせられる巻です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA