平松茂雄『中国の安全保障戦略』

ふだんあまり触れる機会のないジャンル立ったので面白く読んだ。寡聞にして著者のことはよく知らないのですが、中国の軍事研究の第一人者のよう。あとがきでも述べているように、これまでの著者の研究の集大成ということで、巻末の分厚い著書・論文目録に至るまでの本文も、なかなか噛みごたえのあるもの。歴史的に、ソ連、アメリカ、台湾との関係やそれを軸としたアジア諸国、日本などとのつきあい方も変わってくるというのが面白い。外交政策が明確に「変わる」のがわかるのが中国の面白いところだね。なんというか、日本みたいに国会でヤンヤヤンヤやってというのが見えなくて、いきなり大方針が出てきて、あっちこっちと動いていくさまが、国が一人の人間のように見える。それは一党独裁のなせる技なんだけど、そのわかりやすさが、その意味においては、日本においてももう少しあってもいいように思った。というか、よく知らないけど内閣のプレスリリースみたいなのってどっかあんのかな? 昨今の「戦争法案」も、新聞だけだとなかなか中身がよくわからないというか、公式見解が文書としてどこかにあるなら見てみたいんだけど、マスコミという色眼鏡を外した状態の一次資料。そういうのをきちんと定期的にチェックできるものが欲しいね、人民日報でもいいからさ。それにしてもこう、中国の政策ってキャッチフレーズがわかりやすい。そのわかりやすさは多分、相当に練られ。計算されつくされたものなんだろうけど、最近の「新常態」とか「一帯一路」とかさ、漢字文化圏ならもう少し共有してもいいんじゃないか、このキャッチーさは。

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