村上春樹『走ることについて語るときに僕の語ること』

を、読みました。

本書にはそんなことは書いてありませんが、よく言われる「人生はマラソンだ」という言葉の裏側には必ず「人生は短距離走ではない」という言葉が張り付いているように思います。でも、そうではない。人生は、マラソンですらない。

それは、初めて見る映画のようにどこで終わるかわからない。スタートがあってゴールがあるようなシロモノではない。あと何キロなどと数えられるものではない。

人生は、いつ終わるかわからない散歩のようなものだと思う。逍遥だ。ぶらぶら歩きだ。立ち止まらないことが大事だ。歩き続けているということが、どんなにゆっくりでも、どんなに同じ場所をぐるぐる回っていたとしても、動き続けているということが大事なのだ。

景色を噛み締めろ。舌の上で何度も転がせ。味がなくなるまで噛み続けろ。大丈夫、焦っても焦らなくても、時間はたっぷりある。

実際がどうであれ、そんなつもりで日々を生きたい。

なんとなく、そんなことを思いました。

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