よしもとばなな『海のふた』

伊豆ものであり、店もの。店ものはたまにあるけど、結局は作者の創作に対する一つのマニフェストになっている。小説自体が。テーマは『王国』と同じ。これはかき氷屋だけど、王国のお茶屋さんと、言われてみれば建て付けは一緒。そういうものを書くということが一つの、確認行為であり、高らかな宣言なんだろうな。日記を読んだ上で読むと、なんとなく奥行きを改めて感じられる作品です。小説としてはたぶん、あまり、うまくないんでしょうけどね。でも、この文庫のアマゾンの書評群にはなんとなく独特の熱があります。読むとなにかフィジカルに、何かをしたくなるような、人を動かすチカラがあるのは確か。

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