時間軸があっちゃこっちゃいくので読みづらい。が、筆者としてはなにか新しいことを試みようとしたというのは確かだ。少なくとも、この本は、文章が独立してあるのではなく、奈良美智の絵があってこそ、この小説は生まれた。
だから、絵のような小説、とでも言うべきか。それは、一枚一枚が「印象的」である必要がある。ぱっと見て、「あっ」と心の奥底に届く。あの、足の長い宇宙に浮かんだベッドに眠るダリアの姿のように。絵は、瞬間が勝負だ。動かないから。小説はでも、時間をかけて読まなければならない。この小説は、絵が小説に寄り添い、小説が絵に寄り添おうとするそのギリギリ重なる世界を、うまく読む者・見る者に開陳してくれる。
ノリナってこれね。