自分の成長のために~アウトプット

一つ前のエントリーで紹介したよしもとばななとパトリス・ジュリアンの往復エッセイ集『News from Paradise』ですが、読み終わりました。とてもいい本です。読んだら生きようという強い意志(ああっ、そんなものはこの季節には暑苦しい)がむらむらわいてくるわけではありません、ただ、ちょっと現状に不満があってもがんばってみようかな、ちょっとていねいに暮らしというものを見つめ直してみようかな、という気持ちにさせてくれる本です。

よしもとばななさんは言わずもがなですが、パトリス・ジュリアンという人は本を読む限りではレストランをやったり禅をやったりしているフランス人さんのようで『物語の主人公になる方法』という非常に魅力的なタイトルの本も書いてらっしゃいます。

これは既にアマゾンに注文してみました。

さて『News from Paradise』ですが、この中の記述で自分なりに引っかかったところが二つあったのでそれについて書いてみようと思います。

 私が小説を書くとき、もしも「読者のために書こう」と思うと、ろくなものになりませんからね。〔中略〕
 自分のために、自分が成長するために、なにもかもをするのです。そして、それが周りの人のためにもいちばんいいことなのです。(よしもとばなな)

もちろん仕事の内容は違うから一概に自分と重ね合わせることはできないかもしれないけれど、でも、今やっている(と、能動的に言い切ってしまっていいのかちょっとまだ不安)仕事がとにかく自分のためなんだ、自分の成長のためなんだと思うことで、どんなにつまらない仕事からもなにか成長の種を見つけることができるのかもしれない。

いいんだ、無理に社会のためとか会社のためとか革命のためとか(笑)ふわふわしたことを考えなくても。いいんだ、先輩や上司に怒られないためとか食っていくためとかぎちぎちしたこと考えなくても。

自分のために、自分が成長するために。

自分という枠をしっかりと認識して、そこを出発点にする。いい意味でそこにとどまる。固執してみる、執着してみる。

考えてみれば、近ごろ自分を大事にしてなさすぎです。悲しい音楽を聴いて、やたら活字の大きな自己啓発本で脳を疲れさせて、ジャンクフードを安いお酒に浸して体に詰め込んで! だめだめ、朝はちゃんと起きておいしい朝食を食べて、洗濯物はきちんとたたんで、時間がある時は小説を書いて(今日は三枚も書いたよ)――そういう、「暮らし」にもっと目を向けなくちゃ。

これがまず一つ目。

 日本の消費者は、“インプット”することの充足感にばかり目を向け、“アウトプット”を管理する責任も、この社会は引き受けなくてはいけないことを、次第に忘れてしまっているように思います。〔中略〕
 僕の本の読者は、僕の生き方に好感をもってくれています。ところが彼らにしても、それをインプットすることにしか興味がないんだな、と気づかされることが多くなってきました。(パトリス・ジュリアン)

この引用は、ゴミの問題から派生してきているものです。インプットにばかり目を向けてアウトプットに気を配らないのは悪名高き「消費」でしかないということ。口から入れたものは必ず出る。新しくものを買えば古いものを捨てることになる。その、出口にもちゃんと目を向けましょうということなのだけど、ぼくはやっぱりなにか本を読んで(インプット)感じたことをこうして書く(アウトプット)ということが日常になっているから、どうしてもその意味でも拡大解釈してみたくなってしまう。

要するに、これからは本は読みっぱなしにしないぞ! ということ。やっぱりこうして引用しながら色々と考えてみる時間を持つとその本が自分の血肉になったような気がする。一冊本を読んで、ちゃんとその内容を自分なりに理解したぞ、という充実感。これを経なければその本は読んでいないのと一緒。

インプットしたら、どんなかたちでもいいからアウトプットすること。インプットをするならアウトプットするところにまで責任を持つこと。それはむしろ自己啓発本について一番当てはまるのかもしれない。思索のための本もあれば行動のための本もあるからね。

これが二つ目です。

そんなわけでこのブログもうまく利用しながらアウトプットを模索していきたいと思っています。そう、この自分のために!

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