スーザン・ソンタグ『ラディカルな意志のスタイルズ』

を読みました。

「完全版」と銘打っているのは、これまで手に入る日本語版として晶文社から出ていた『ラディカルな意志のスタイル』というのが、後半のアンケートと「Trip to Hanoi」が抜けている・・・というか、「ハノイへの旅」は『ハノイで考えたこと』という形ですでに一冊の訳書で同じ晶文社から出ていたという事情もあったようです。今回「完全版」は原著の構成どおりという意味の「完全版」でした。訳も「スタイルズ」と複数形になっていますが、ソンタグの映画論、美学論が様々なアーティストを通じて展開されるあたり、「スタイル」の見本市のようで、それは複数形のほうが良いのでしょう。もちろん「ハノイへの旅」における「スタイル」はヴェトナム人とアメリカ人の双方のそれを比較する、前半に比べて書きぶりは旅行記風ではありますが、非常にテーマとしては重たいものを扱っています。

この「ハノイへの旅」は以前読んだとき(それはもちろん上記の『ハノイで考えたこと』を通じてですが)もなかなか唸らせられたのですが、例えば自分が海外へ出張に行くときも基本的には同じように車での移動が中心で、それは安全保障上、仕事なので致し方ないのですがソンタグと同じような課題意識で毎度毎度空港に降り立てるかというとそんなことはなく、個人的にもその重さは多少ながら引き受けたいと考えてはいます。

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