
御茶ノ水橋からその後の川の流れを追うための短編たち 光・記憶・写真
椎名要
【内容紹介】
◆大学の写真部を舞台に、最後の青春/青春の最後をスナップショットのように連写していく短編集
◆すべての小説は「写真論」である……ロラン・バルト、スーザン・ソンタグに導かれて──大学を卒業した「ぼく」はふとインターネット上でかつての通学路である御茶ノ水橋界隈の写真を目にする。その写真からかつての自分を思い起こしながら、その写真を撮ったある写真家の他の写真もまた自分の埋もれていた記憶を刺激してくることに気がつく。「ぼく」は「写真は光を写し取ったものである」というコンセプトを元に個々の写真から浮かび上がってくる物語を自分の過去とない交ぜにしながらいくつかの物語を書き出していく。
◆ある大学の写真サークルを中心にその周辺にいる大学生たちの平凡な生活──
・結婚を間近に控えた姉の後ろ姿を見つめる芽依
・フィリピンの観光大使に選ばれてバナナ好きのキャラクターが不本意にも定着してしまった美絵
・恋人の実家を訪れて出されたカップラーメンをおいしそうに食べる矢野
・池袋で煮え切らないデートを展開する範子と大賀
◆あるいは、キャンパスの中庭でビールを酌み交わす夕暮れ、最後の夏休みに海に行く者たち、逆に「みんな一緒」に抵抗して煙草を吹かす者たち、あるいは喫煙所から生まれた卒業展覧会のアイデア、卒業してからあわてて車の免許を取った大賀は東京を離れることになった美絵を駅まで車で送っていって行く──それらは、いちいちが写真であり物語であるように「ぼく」には思えたのだった。
<目 次>
一枚目の写真 プロローグ~御茶ノ水橋の上で
二枚目の写真 高井戸の実家
三枚目の写真 青いバナナ
四枚目の写真 夢のカップラーメン
五枚目の写真 池袋の理由
六枚目の写真 中庭の光
七枚目の写真 鳥かごの中のペンギン
八枚目の写真 最後の夏休みの最後
九枚目の写真 喫煙所での提案
十枚目の写真 パラソルが低すぎて
十一枚目の写真 吉祥寺のギャラリー
十二枚目の写真 教習所までの道
十三枚目の写真 最後のシャッターが押されるとき
十四枚目の写真 残念ながら三月十五日は雨で
十五枚目の写真 エピローグ〜石川麻衣との架空の対話
【ビジュアルイメージ】

【冒頭表示イメージ】
