
これもまた、「ゆる言語学ラジオ」にちなんで読んでみました。ぼくは電車の中でこのポッドキャストをよく聴いているのですが、永遠の大二病というか、よい意味で知識欲をかきたてられます。
本書は学術的な内容かと思いきや、漢字収集の旅を描いたけっこう生々しい紀行文です。『悲しき熱帯』にも通ずるものがあります。採集はするのですが、結論がわからないものもたくさんあります。でも、土地の人々との交流のなかで丁寧にすくい上げられている様子が本当に面白いですし、基本的に市町村合併の中でJIS標準にも席を与えられなかった「悲しき」漢字たちへの賛歌ですね。
たぶんこの本自体の本文校訂がめちゃくちゃ大変だったんじゃないかと想像されます。活字にないものを紹介する本なので、角川の編集にも脱帽です。そもそもJISが間違っていたということまで指摘する本なので、この本自体は絶対に間違えられないですし、この本が版を重ねることができれば、将来的に死なずにすむ漢字もあるでしょうし。
とはいえ決して硬い本ではなく、芸能人の名字と出身地をつなげてさもありなんという事例は枚挙に暇なく、面白い。あと、とつぜん懐かしのエロ本「デラべっぴん」の「でら」は名古屋本の「でら」ではなく「デラックス」の「でら」という話が(しかと研究室に置いてあった雑誌という紹介で…?)出てきたり。
いずれにしても街を歩くときにほとんど当たり前と思っている漢字や表記が実はぜんぜん全国的なものではなく「方言」だったなんてことがあるかもしれないので、この本を読んだあとでは、なんだかいちいち目の前の看板を注意深く見なければならなくなりそうです。



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