いやもう・・・めちゃくちゃ面白い4時間でした。アーカイブされたものを購入して見ましたが、そもそもからして『大学デビューのための哲学』は、ぼく自身は大学に入ってから読んだので20年以上前になるわけですが、折に触れて読み返す貴重な一冊です。
なんとなく、自分には人生の原点のようなものが二つあって、それは駿台で霜さんの授業を受けていた受験生のころと、就職活動をしていた頃なのですが、つまりは自分の人生の岐路にあってめちゃくちゃ悩んだり傷ついたりしていた頃なわけです。特に霜さんの授業には本当に影響を受けて、今でも本の読み方とかものの考え方はだいたいそのころに身につけた方法論をなぞっていますし、いまでも会社でも部下についつい「イイタイコトは?」などとわざとカタカナで問いかけてみたりしてしまいます。
それはともかくとしても、まあやはり20年も経つとみなさん(入不二さんも大島さんも駿台文庫の写真でしか接しなかったわけですが)年取っておられてそこがまたいい味を出していますね。自分としては霜さんの声がまた聞けて何よりでした。こんなにゆっくりしゃべっていたかな? というくらいのスピードですが、たぶん当時もこれくらいだったかもしれません。
話題は最初から最後の一秒まで面白い。伊藤和夫がやはり端々に出てきますし、河合塾との比較や特に最後のB社・R社のところは、予備校講師からはそういう風に世の中が見えているのかと、目からうろこでした。確かにディストピアはすぐそこにまで迫っています。それに対抗するための「予備校文化」ですし、そもそもが神田カルチェラタンに端を発するカウンターカルチャーなわけですからね(その意味で駿台文化というのはほとんど東京の御茶ノ水の本当に限られた地域の熱狂なのかもしれない。そういう視点は抜けていたと思うけど、入不二さんなんかは山口大にいたころどう感じられていたのだろうか)。最首さんなど学生運動世代はこの三方よりもさらにひと世代上になるわけですが、だんだんとそういう「気概」のようなものが世の中に散って行って希薄化しているのは事実。でも、消えてはいないし、消えることはないんだと思う。