ハーマン・サイモン『価格の掟』を読みました。

を、読みました。

著者はどっかの会社の伝説の営業マンというわけではなく、学者でありながらプライシングについてのコンサル業をやってきた方のようでして、その経験がこの本にも色濃く表れています。

したがって教科書的なものではあまりないです。ただ、理論と実践が程よく絡み合いながらお話が進んでいくので読み物として非常に面白かったです。出てくる計算も初歩的なものばかりだし、ちょっと考えれば誰でもわかりそうなことをしっかりと書いてくれています。

難しいのはやはり実践です。だれも競合他社がどう動いてくるか、お客がどれくらいの価値を自分たちに認めてくれているか、わからないんですよね。わからないからこそ、失敗事例を読んで「やっぱりそうだよなあ」と思ったところで、その施策をやってしまった当人たちはその時その時で会社をつぶさないように必死にやっていたはずで。そのときサイモンさんに「価格を下げるなんて愚の骨頂だ!」と言われていたとしても、なかなかそうはいかなかったのだろうと思います。そこがつらい。

ただ、一貫して著者は「価値の裏付けがあるものは安売りしてはだめ」というのを主張しているように見えます。安値で成功できるのは、100円のものを95円で売った場合ではなくて、ものすごいイノベーションで50円で売っても利益が確保できるときだけ。

とまあいろいろと示唆に富む内容でした。

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