『資本論』(マルクス・コレクション)を読みました。

を、読みました。

実はこの二冊で長大な『資本論』を網羅しているわけではなく、この筑摩の「マルクス・コレクション」に収められているのはマルクスが生前に刊行物として見届けたのが第一巻までだったため、ということで第一巻だけの翻訳になっています。二巻目以降は草稿で、おそらく岩波文庫とかで読めるのはなんらか編集されたテクストなんでしょうね(資本論のテクスト・バージョンについて深く立ち入るほど詳しくありませんが)。

令和のサラリーマンが資本論を読んでなんの意味があるの正直よくわかりませんが、なんとなく「結局これは変動費と固定費のことを言っているんじゃないか?」とか「マルクスはひたすら児童労働や搾取されたが故の貧困に対してめちゃくちゃ怒っているなあ」というような感想はあるのですが、おそらく理論的に盛り上がってくるのは二巻以降なんじゃないかという余韻を残しつつ終わるのでなんとなく消化不良な感じではあります。そもそも文体が、いわゆる現代の学術論文とは異なるので「あれ……この引用はマルクスの本意なのかな……と思ったらやっぱり単なる皮肉だった!」という頭の使い方を何度となく強いられます。これはこれでなかなかシンドイ。

もっと若い頃に読んだら(10年前に一度読んではいるのですが)、また違う感想だったに違いありませんが、ここから二巻以降をなんらかの文庫で読み進めるか(光文社古典新訳あたりで出るとありがたいんですけどね。二巻以降で今手に入る一番新しい翻訳って、結局なんなのだろう?)、一度『資本論』論に逃げ出すべきか……。そういえば高校の時の歴史の先生がひたすら「剰余生産物」を連呼していたのはやっぱりそういうことだったのか。普通の日本語は「余剰」であり、特定の文脈の中でしか「剰余」という語は出てこないんですよね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA