村上春樹『カンガルー日和』『ふしぎな図書館』を読みました。

を、読みました。

短編というよりは掌編集ですね。まあしかしよくもこれだけのタイトルを思いつけるもんだと感心してしまいます。いずれにしても読後、心に残るのは「本当はあり得たかもしれないたくさんの人生の可能性のかけら」みたいなもののきらめきとでも言うんでしょうか。人は必ず何らかの判断をしながら生きていきます。でももしかしたらあの時違う判断をしていたらその後の人生が思いがけずガラッと変わっていたかもしれない──そんなことは実際に起きたら全く当てが外れていたとしても、なお、そう思わせてくれる瞬間というのが誰の心の中にもあるはずで、たぶんそれが今でももしかしたら退屈な日常というものがあるとしても、ときどきその「退屈さ」の当り前さを揺さぶってくれる。「バート・バカラックはお好き?」「駄目になった王国」「スパゲティーの年に」あたりがそういうテーマが色濃くて好きです。

『カンガルー日和』の最後に収録されているのが「図書館奇譚」の連作。それを絵本版にリライトしたのが『ふしぎな図書館』です。続けて読むと、けっこう絵本用に書き直した異同のいちいちがわかってこれはこれでなかなか興味深いです。


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