田山花袋『少女病』

を、読みました。

最後に電車に轢き殺されてしまうところも含めてこれはもう笑うしかない。日本初の「視姦」文学ということですが、後にも先にもこれくらいでしょうね。

鉄道というものが生まれて、初めて日本人は都会において満員電車の中で見知らぬ他人と体を寄せ合うという経験をするわけですが、そういった中で向かい側に座る見知らぬ少女を盗み見るという快楽を主人公は獲得していきます。それに乗じておそらくは各女学校の地理的配置と路線図との関係をフェティッシュに追及する快楽もまたそこに絡み合っていくわけなのでしょう。妻子もありながら、そういった全く見も知らぬ対象に欲情していくというその有様を「少女病」と称しています。

不惑になりながらも惑い続けることは確かにひとつの「病」なのかもしれませんが、ひたすら自らのやむにやまれぬ性向に対する解説を独語していく文章をそれこそ満員電車の中で読んでいると、この車内にも主人公がどこかにいるのであり、あるいはすべての中年男性はそうであるとも言えるのか……へんな気持ちになってくる小説です。


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