フィリップ・デルヴス・ブロートン『なぜハーバード・ビジネス・スクールでは営業を教えないのか?』

を、読みました。

まず、この本には何か答えが書いているわけではありません。アマゾンのレビューにもあるように、これは題名がとにかく非道くて、邦題に偽り有りの代表例と言っていいです。ただ、そこをちゃんと踏まえた上であれば特に期待はずれの本では決してないのが、この本を不幸にしている所以です。出てくるのは、古今東西の営業のプロたちの生き様。しかし著者はあえて詳細な描写にとどめて自らの価値判断を放置します。つまりは、彼らの姿を見て、読者であるお前はどのような営業をプロとしてよしとするか? を。徹底的に考えさせられます。会社に宗教のように帰属して商品を売りまくるのも、営業のプロです。そこにお前は没頭できるのか? 没頭できないのであれば、セールスマンである自分を一つの必要悪として、役割として割り切るのか? ではそういう人生を送ったとき、お前は幸せな会社生活を送ってきたと言い切れるのか? そういう人生をお前は望んでいたのか?

けれど、著者が言いたいのはきっと、セールスという仕事をどう評価するのであれ、当面の間はそれは人間がやらなければならない仕事であり、であるならば、どうせやるなら楽しくやろうよ、熱意を持ってやったほうが、世のためになるよ、というポジティブなメッセージなのです。その声が届くか? 実に、実に、考えさせられる一冊です。

繰り返しになりますが、邦題はとにかく無視してください。


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