平野啓一郎『文明の憂鬱』

再読。著者初期の時事ネタ集。だいたい2000年代初頭を中心としているので、ぼくも大学生の頃だ。図らずもなのか、後年の作者の小説のモチーフになるテーマがすでにこの時に色々と出てきている。本人の興味というのは、小説という形になるまでなかなか外に見えないものだけれど、小説という形でしか作者を知れない読者というのは随分と「遅れて」しまうんだな、という感じがする。ぼくたちが『日蝕』を読んでいる頃にはすでに作者の頭のなかはドラクロワや義足やカフカにあったのだから。椎名林檎なんかもそんな感じだったんだろうな。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA