浅野いにお『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』3

プンプンが、具象と抽象との間での遊びだったとしたら、『デデデ』は徹底した具象。リアリズムへのこだわりなんだろうな。見えない空気を、あえてベタな展開でも、まずは言葉にしてみる。紙に印刷されたそれは、そうして初めて論じる対象となる。まずそこまでこの3.11後の世界と徹底的に向き合っている作家の姿が、潔くて、ものすごいことだと思う。不安は宙を待っている、いや、それは本当に空を覆っているのだ。そして着色されれば、それは見えるものとなるのだ。随所にこだわりを感じる。やがて消えゆく空気ではなくて、それを押しとどめて、たぶん、絵を描くにはすごく時間が掛かるのだろうけれど、ページを開いて読めるものにしている。そこにまず驚かなくちゃいけない。

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