村上春樹『雑文集』

を、読みました。再読。

「デビューの言葉から「壁と卵」まで」と、銘打っているように、著者のデビューしたばかりの頃から最近(2010年くらいだと思う)までの「雑文」を集めたものです。著者の全集が出れば、最後の方の巻に位置するものなんでしょうか。ただ、読んでみてわかるのは、これは雑駁なものをただ寄せ集めたという印象は全然なくて、むしろこれだけ様々な題材を扱いながら、一貫している著者のスタイルが、明確に受け取ることができるという部分に、やはり驚いてしまいます。こういうのを読むと、ああ、もう一度あり作品を読み返してみようかな、という気持ちにもなります。

村上春樹の文章は乾いた中に独特のユーモアがあるので、ちょびちょび読むのに調度良い。逆に、エッセイ集でも小説でも、長いものを一気に長い時間かけて読むと、喉がからからになって、埴谷雄高などが読みたくなる。

自分の中の確固たる価値観に従って突き進めば、ここまでのレベルになれるものなのかな。特に翻訳に関するエッセイなどは、先行する作品や作者、訳者に対する敬意にあふれていて、こういうところが、惹きつけるのでしょう。

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