谷本真由美『キャリアポルノは人生の無駄だ』(四読目)

を、読みました。四回目。四回も読んでいるのに、実はこのブログで感想を書くのは初めてであるということに自分で気づいてびっくりしています。

「キャリアポルノ」はいわゆる自己啓発本。この本自体が、「自己啓発本は意味が無い」という自己啓発本なのだ、というもっともらしいダジャレはたぶんどこでも言い尽くされているんでしょうが、それでもなお、読ませるものがあります。定期的に読み返したくなります、特にこういう日曜日の夜なんかに。もちろんメッセージは明確だし、シンプルです。ミスチルが歌えば「誰の真似もすんな 君は君でいい」ってことなんでしょうし、小林康夫に言わせれば「ブリコラージュの自由」なんだろうし。今のあなたを否定する必要はない。今あなたが持っているものを組み合わせるだけでずいぶんと幸せになれるはずだし、いわゆる「成功者」の真似なんかする必要なんてない、そもそもあなたは「成功者」になんてなりたかったのか??

キャリアポルノを読んで、他人(成功者)の真似っこをしようと頑張ることは、つまり、自分本来の考え方や、やりかたを否定してしまうことなのです。自分を否定するということは、自分の両親、兄弟、姉妹、出身地、育った家、好きなアニメ、好きな食べ物、嫌いな虫、先祖、思い出などを否定することです。〔中略〕「私は私、これとこれが私をつくっている、そういうものに囲まれた私は、出来る範囲で自分の生活をどうしたら楽しくできるか?」と考えるべきなのです。

amazonのレビューなんか見ていても賛否両論激しいです。そして一つ星から五つ星までがほぼ平行に並んでいます。この本を貶すことで自分を強く見せたいのかもしれないし、この本に共感する自分をさらけ出すことで「正直なワタシ」を演出したいのかもしれない。でももう一度、いや、四度くらい読んで冷静に、クールに、作者の一文一文を噛みしめれば、そんなに感情的になる必要なんて無いことに気がつくはず。

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