よしもとばなな『バナタイム』

結婚〜妊娠発覚前後の出来事を中心に雑誌「GINZA」に連載したエッセイ集です。なんとなく、吉本らしくない緊張感がみなぎっています。日記編を読んだ身としてはお馴染みのエピソードが満載ですが、やはり結婚直前のごたごたが答えているようですが……日記のおちゃらけた感じは、あれはあれで立派な創作なんだなと感じます。

最後の回で自分が死を描くことについても触れています。ただ、それは結局死んでいく人そのものや死そのものと向き合って描くというのではなく、あくまでも死によって残された人びとの懸命な姿を描くことに彼女の焦点はあるのだということです。これは確かに『キッチン』以来そうなんだよなあ。それは本当に、ずっとぼくも彼女の作品を読み続けている中で感じることです。

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