吉本ばなな『虹』

世界の旅シリーズはこれで最後。しかし内容はうーーーーーーーーーーん、という感じ。珍しい展開。あと、展開というか語りの構造が懲りすぎていて、何か読みながら何度もつっかえた。そしてこれはタヒチ編のはずなんだが、タヒチにいながら日本のことを思い出している体裁なので、ほとんどタヒチそのものについては触れられていない。これはあんまり世界の旅シリーズとは言いがたい。後年のハワイもののほうがずっといい。あとがきには「一週間の取材で即興的な小説が書ける場所ではないなあ」と正直な感想も述べられていましたので、これはこういうもんなんでしょう。

まあしかし庭の描写、食べ物の話。本当にこの作者は処女作である「キッチン」を何度も何度も何度も書きなおしては新しい小説として提出してくれます。そこが本当に信頼できる作家です。

あといまさらだけど原マスミって男の人だったんですね・・・。

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