三砂ちづる『オニババ化する女たち 女性の身体性を取り戻す』

を、読みました。

まあなんというか、最右派の女子大の連続講義みたいな感じでした。

決して、題名から想像されるような女性の社会進出について社会科学的、生物進化論的、身体論的な根拠に基づいてレッテル張りをする……というような内容では全く無く、むしろ著者があとがきで述べているように「科学時な根拠のあること、あるいは、ただ、私の気づきに過ぎないこと、が混じっています」。これをどこまで楽しめるかどうか、ですね。

要約してしまえば「女はさっさと結婚して子どもを生むのが一番だ」という主張なのですが、著者のこれまでの経験や調査に基づいた(けれども? それが故に?)一貫して主観的な物言い(「〜と思います」「〜でしょう」のなんと多いことか!)に織り込まれてくるさまざまな具体例がいちいち面白いのは確かです(昔の女性は経血をコントロールできた!)。

ですから、「なるほどこういう事例からすればこういうことが言えてしまうのも確かだな」というところから「しかし自分はこう考えるぞ……」という読書の契機としては良い本ではないでしょうか。自らの生き方によってこの本の主張を否定しにかかるのも良いですし、アマゾンのレビューで激高している人も多いようですが、読む人を非常に選ぶ、読む人の生き方に対して非常にツボを突いてくるという意味で良書。

良書、というか、こういう本はこっそりと出版されてある一部の人に受け入れられればそれで使命を全うしたことになるようにも思います。光文社というブランドと新書という形式で頒布されてしまったのが不幸だったようにも思えます。読者ターゲットは新書を読むようなオジサンたちではないのは確か。しかしまあ光文社の女性誌といえば「女性自身」ですから、その意味では右派としての一貫性はあるんでしょうか……そこん所、どうなんでしょう。

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