リンダ・グラットン『ワーク・シフト』

を、読みました。この本では今後起きるであろう技術革新や資源の枯渇、大量消費社会からの脱却といった大きな枠組の変遷の中でたとえば2025年にあなたはどういう仕事の仕方をしているだろうか、仕事に対するモチベーションは何になっているだろうか、そしてそれに対してどのような選択をしていかなければならないのかを、各人に問い続けてきます。

書かれてあることにさほどビックリするようなことはありません。けれども、自分の子供達に今と同じような仕事のしかたをさせたいか、今後寿命が伸びるなかで定年後も何らかの収入を得ようとしたときに今と同じ仕事のやり方を継続したいかといったように、現在おそらく多くの企業人がジレンマに感じているであろうことを隠すこと無く問いかけてきます。

大きな企業体の中で毎日社内政治に明け暮れていると、今自分のやっていることが本当にお金を生み出しているのだろうか? いや、そもそもお金を生み出していることを第一に据えなかったとしても、もっと大きな価値観に基づいた行動原理に則っているのだろうかと、嫌でも考えさせられます。

毎日十時以降まで仕事をして、明日までにやらなければならないことがまだ手についていない状態で終電に揺られる生活をして、例えば自分に子どもが生まれて家庭生活へ時間を改めて割くことなんて出来るのだろうか、あるいは自分の父親と平日は全く顔を合わせること無く土日もどちらか一日はいなくて、見るのはヘトヘトに疲れきって昼寝をしている姿だけ……という環境を当たり前として育った子どもが、「脱大量消費」を訴えて「経験重視」の全く新しい仕事観に裏打ちされた就職活動を展開できるか? できるわけない。じゃあそれを防ぐために今からあなたはどんな選択をしていくのか?

それを自分の頭でかんがえろ、クソボケ!!

……という、とっても憂鬱になる本です。

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