を、読みました。
が、正直に言って「読め」なかったです。ラストの夕刻の描写はまさに人生の夕刻を迎えようとしている主人公スティーヴンスへの最大の讃歌のようにも見え、そこは確かに感動する場面なのですが、いかんせんそこに到るまでのスティーヴンスの思い出話が、いちいち真面目すぎていて笑いをこらえられませんでした。さすがにここから「さすが古き良きイギリスの職業倫理!」と膝を打つわけには行かなくて、むしろぼくの頭の中では『海辺のカフカ』に出てくる「ナカタさん」が乗り移ってきてしまい、糞真面目にジョークを研究するくだりなどはこれこそ作者の悪ふざけのようにしか読めず、そういうふうにしか読めない自分がなんとなく情けなくなる読書体験でした……。