スーザン・ソンタグ『サラエボで、ゴドーを待ちながら』

を、読みました。

「WHERE THE STRESS FALLS」の邦訳二分冊目です。こちらはダンス、オペラ、写真、そして邦題にもなっているサラエボで「ゴドーを待ちながら」を演出した際の記録まで内容盛り沢山です。それでも、彼女がそれらの素材を通じて主張していることは終始変わらず存在します。ですから、過去からの色々な著作を読んで、自分の知らないいろいろな作家の存在を知るにつけても、それは決して百科全書的な知識などではなく、彼女のラディカルさという一本の幹にきっちりと支えられていることを感じます。その審美眼、ポリティカルコレクトネス、女性蔑視への飽く無き抵抗。力強い言葉によって揺らぐことのないそうしたスタイルは、本当に明日への希望を持たせてくれます。

これで絶版含め邦訳で出版されいるソンタグの著作をすべて読み終えたことになります。みすず書房からの刊行という意味では当翻訳が最新で最後となるのでしょうか? 河出からは彼女の死後に出版された日記類のアンソロジーの、その「あとがき」によれば三分冊のうちの一冊目だけが刊行されていますので、残り二冊が待ち遠しい限りです。それから小説「In America」が未邦訳でしょうから、みすずとしてはこちらをぜひ出して欲しいと思います。まあ、原書買って読めっていう感じもこれありですが……。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA