新年度なので

定期購読しているブロガーの皆さんもなんだかにわかに更新が頻繁になってきたり、今年度はもう少し頻繁に更新します宣言したりとやっぱり春は人は狂わせる。こう言いながらぼく自身も知らぬ間に魔力にとらわれていたわけで、まあしかし桜も咲くとやっぱり春という感じですね。通勤コートももう要らないし、身軽になるとその分心も体も動きまわりくなるものなんでしょうか。

まあ、仕事の方はあまりよい滑り出しとは言えそうにないのですが!

あとパヴェーゼの『流刑』を読み終わりました。この作家は堀江敏幸がえらくプッシュしていたのを何処かで読んで気になって読み始めたらハマってしまった作家です。岩波では他に『故郷』『美しい夏』『祭の夜』が既刊です。やっぱりこの人は「夏」という季節に対してどうしようもなくノスタルジーを感じてしまうらしいのです。『流刑』でもやはりそうでした。自身が反ファシズム活動のために流刑地に送られた日々の生活を元にしたほとんど自伝的な小説なのですが、海辺の鄙びた村で酒を飲む夏の日々を緊張感を失わない淡々とした文体で描きながらも、時に叙情的な夏の美しさを歌いあげてきます。もちろん季節は冬へ巡ってくるのですが、その寒さを強調するあまりにやはり夏との対照が浮かび上がってきます。イタリアの夏がどのような光りに包まれているか想像するしか無いのですが、それは流刑地といえど人に恋をさせる魔力をまた、持っているのかもしれないですね。この世はどこに行っても監獄なのだとか何とか言っているメッセージ性よりも、まずは文章の美しさに、そして夏への憧れに共感するあたり、惹きつけてやまない作品群です。

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