忙しい朝からすべては始まるRie fu

Rie fu『at Rie sessions』を聴きました。

ぼくにとっては新譜が出るたびに必ず購入するアーティストの一人です。今作は様々なアーティストとのセッションをベースにしたアルバム。リード曲にリリーフランキーと山本モナが登場するのが???という感じではありますが、これ以外の曲は良い意味で相変わらずこの作者の持ち味を存分に聴かせてくれています。

思うに、Rie fuの楽曲の中で際だつのが日々の小さなストレスをうまくポップな曲調に乗せて異化してくれる、その救済。いつまで続くのかわからないこんな毎日が今日も始まる、けれど今日という一日を少しでも楽しく過ごせますように──という願いが、言葉そのものではなくて描き出される朝の光景や具体的なアイテムのはしばしから感じられる。そしてそれは例えば都会派OLエビちゃんの一日みたいなあり得ないフィクションではなくて、地に足付いた生活の匂いがきっちりと練り込まれている。

そうなのだ、この人は朝を描くのがすごく上手い。

振り返るということを前提としないならば人生はいつでも朝から始まる。人生は今日という一日を過ごすということの積み重ねだからだ。そこから始まるあらゆる可能性を秘めた(これは悪いことも時には起きるという意味も含めてだけど)時間に立ち向かって行こうという気持ちを引き起こしてくれる。その、ミニマルから大きいところへの抜けて行き方がRie fuはいつも、すごく上手い。

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