Cocco『大丈夫であるように』

を、見ました。Coccoのドキュメンタリーと言えばもう何年前になるのか『Heaven’s hell』があり、これはもう大学生の時に何度見返したかわからない。あの頃はCoccoについては2時間くらい語りたい症候群にかかっていました。

その後、CDを出すという活動は少なくなりましたが、絵本や書籍などで彼女の考え方が変わっていくことに驚き、確実に90年代メンヘラー世代の残滓を引きずっているぼくとしては正直残念なところもあり、そして最後には彼女の変化について行きたいなどと考えるのでした。

今回の是枝監督によるドキュメンタリーも同じことが言えるでしょう。ここで彼女は今までの自分とこれからの自分とをいろいろな形で語ってくれています。──10代の頃は死ぬことを急いでいたしそれがかっこいいと思っていたけれど、今では「生きていく」ことをいかに続けていくかを考えなければならない。はっきりとそう言っています。生き続けていくことが、前提になっている。それは、ある人にとっては当たり前のことなのかもしれないけれど、毎日を死にたい死にたいと自問しながら生きていくことを背負わされている人間には、いやそれどころか逆に生きたいと願っても生き続けることがかなわない人間には、まずそこで立ち止まらなければならない選択肢なのです。

息子に「もののけ姫」を見せたときにあれほど嫌いだったラストシーンに対する見方が変わったというくだりや六ヶ所村の問題、見るべき部分、耳を傾けるべき部分は多分にあります。その一挙手一投足に、大げさに言えば彼女の思想が詰まっているし、人間はそうやって生き続けるのはしんどいけれどそうあるべきなのかもしれない、誰もがCoccoのようになれるわけではないのだけれど、なりたいと願うのは可能だ。この映画のタイトルが、大丈夫と言い切ることはできないけれど、「大丈夫であるように」と願うことはできるということに由来するように…。

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