神谷美恵子『生きがいについて』

を、読みました。

著者は改めて言うまでもありませんがハンセン病の治癒に献身した精神科医として知られます(一時期まで金井美恵子とごっちゃになっていました、ごめんなさい)。

その療養施設での体験を通じて、絶望の底にある人間がいかにして精神的な強度を持ちながら生き続けるか、そのために「生きがい」がいかに大切であるかを深く深く追求していく本です。

正直言って、打ちのめされました。

そしてこんなにもこの本の言葉の一つ一つが自分にとって、まるで砂漠で旅を続ける人が追い求めた水のようにここまでしみわたるとは、予期していなかった。

それは、浴びるほどの水ではないけれど、かといってすぐに蒸発してしまいそうな一滴でもない。ちょうど喉を潤すのにちょうど良いコップ一杯分くらいの水です。つまりそれは、飲み終えたらまた相変わらず歩き続けなければならないということ──まさにそのことを、この本は教えてくれます。

1ページに1カ所は線を引っ張りたくなる箇所があり、引用するならばこの本まるまる一冊引用しなければ意味をなさないです。まずは読んでほしい。

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