森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』

を、読みました。

ところで今週は残業圧縮ウィークということで、朝十時出社の午後三時退社の毎日となっています(ただし建前)。んなわけで、平日なのに一冊本を読み終えることができました。

現代男性作家の小説はどれがおもしろいのか全くわからず割と読まず嫌いしていたのですが、これは抜群におもしろかったです。amazonのレビューを見ていると、その文体、と言うか語り口に入り込めれば面白い、という条件付きの評価が多かったのですが、むしろこれは割とテクニックとしては王道の文体であって、慣れるも慣れないもないと思います。

物語は主人公の京大生と、彼が恋する不思議ちゃんの女の子と、二人の独白体が交互に展開されていきます。非現実的な脇役ががっちりと世界観を隙なく支えていて、単なるおもしろおかしい恋愛譚で終わっていないところがいい。

特にこれは京大界隈の地名も頻出する小説なので地元の人が読んだらもっといろいろ「ああ、あそこでこんなことが」と空想をふくらませられるのでしょう。けれど京都の地名というのは非常にイメージを惹起するものが多く、作者としてもむしろその効果をねらっているんではないでしょうか。

古書をめぐるくだりはどれも楽しく読むことができた。本好きな人が読むとますます本が好きになるような第二話がお薦めです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA