『ノルウェイの森』再読

精神状態の悪い三日間だった。

毎日夕方まで寝ていた。

読めた本は『ノルウェイの森』だけ。けれどだいぶ真剣に読んだ。この作品の良い部分も悪い部分も、これでたぶんもう五回目なので知っているつもりではあるのだけれど、やっぱり引き込まれてしまった。

手元にある講談社文庫版の奥付は1998年。確か高校一年生の時、初めて買った村上春樹の本であった。以来、機会ある毎に読み返してきたのだけれど、その時々に考え続けていたことにヒントとなるセンテンスが散りばめられていることに驚く。

ある時は好奇心。
ある時は主人公のスタイル。
ある時は喪失感の代弁として。
ある時は記憶の存在意義について…。

そういう読み方をするものだから、概して村上春樹の小説というのは読み終わったあとでもあらすじを全然おぼえていない。それはぼくが筋のおもしろさをこの作家に求めていないからであって、『ねじまき鳥クロニクル』にせよ『海辺のカフカ』にせよよく話が破綻していると評される作品も、その破綻ぶりは実はあまり気にならない。

『ノルウェイの森』のなにがそんなに惹きつけるのかを事細かに書くことは出来ないのだけれど、かつて高校一年生だったときのぼくが太宰のはしかにかかって、でも大学に入ってからは全く読まなくなってしまったように、いつかふっと卒業できる日が来ればいいなと、思います。

『ノルウェイの森』再読” に1件のフィードバックがあります

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