宮崎駿の仕事

NHK「プロフェッショナル-仕事の流儀」で宮崎駿の特集をやっていた。主に来夏公開される新作映画の創作過程を追うものだったが、構想段階での朗らかな表情が、本格的に制作に入るとかなり険しく厳しい表情に一変する様を見て、あ、やっぱりこの人は尋常じゃない熱意で映画を作っているんだということを感じた。

この手の番組は石田依良とかしょっちゅう出てくるけれど、やっぱりカメラの前でさえ不機嫌さを露わにする宮崎の本気度合いというのは鬼気に迫ってくる。「何が聞きたいの?」なんてなかなか言えないよ。

インタビューしていた茂木健一郎もいつもの活弁が全然発揮されてなくて、ただただ巨匠を前にして自らの化けの皮がはがれないように脅える一回のパフォーマーにしか見えなかった。そういうところもひっくるめて、宮崎はやっぱりすごいと思った。

改めて考えてみると、あれだけの完結した世界観を持った作品をいくつも生み出しているというのは大変なことだ。この、「いくつも」というところに今更ながら脱帽する。

それでも救いだったのは、彼がとにかく時間をかけて練り上げて、常に作品のことを考え続けて、その上で作品が生み出されつつあるという現場を見れたこと。あれだけのものがひょいひょいペンの先からすらすら出ているのだったら、もう彼以外の人間はものなんか作らなくてもいいようにも思えてしまうだろう。

というわけで、今からぼくも小一時間小説を書こうと思います。この前書き出しだけ10枚くらい書いた例のヤツは「高炉とカーテンウォール」になんとか組み込むことにした。これは徹底して喪失の物語にしたいと思っています。自分のすべてを賭けてなっ。

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